企業AIの「コンテキストギャップ」:利用は進むが信頼は追いつかない
VentureBeatの調査(企業101件、2026年Q2)によると、企業向けAIで「コンテキストギャップ」が顕在化している。過去6か月で57%の企業が、業務コンテキストの欠落や不整合を原因として「自信満々だが誤り」の回答をAIエージェントが出したと報告した。RAG(Retrieval-Augmented Generation)は38%で主要なコンテキスト源となっており、検索品質の薄さが誤答の主要因になっている点が問題だ。
構成面では、OpenAIのfile search(40%)やGoogleのVertex AI Search(38%)などプロバイダ内蔵のリトリーバルが専用ベクトルDBより広く使われている一方、34%は2026年末にハイブリッド検索が主流になると見込むなど、再ランキングやアクセス制御を組み合わせたパイプライン志向へ収束しつつある。対策として58%がガバナンスされたセマンティック層を「運用中または構築中」と答えたが、実運用は25%にとどまり、多くは未完成だ。
企業の矛盾も目立つ。現状はプロバイダ内蔵ツールを採用しながら、36%は独立したベスト・オブ・ブリードを維持したいと回答し、57%は今後1年でプロバイダ切替や追加を検討している。選定時は「データ投入の容易さ」「低遅延」「運用のシンプルさ」を重視する一方、運用後は「応答の正確性」「セキュリティ」を重点監視しており、利便性と信頼性の間で揺れている。
示唆としては、単にドキュメント量や大きなインデックスを増やすだけでは解決せず、統一された定義とアクセス制御を備えたセマンティック層やハイブリッドな検索パイプラインの整備が不可欠だ。現状ではエージェントが先に導入され、基盤となるコンテキスト整備が追い付いていないため、重要な意思決定に向けた信頼確保が今後の焦点となる。