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Salesforce、再設計したSlackbotを公開 — 職場向け「エージェントAI」でMicrosoft・Googleと競合

2026.01.13 VentureBeat
Salesforceは新たに再設計したSlackbotを発表した。従来の通知や単純な自動処理に留まっていたSlackbotを、企業データの検索や文書作成、従業員に代わって行動することができるフル機能のAIエージェントへと作り替えたもので、Business+およびEnterprise+の顧客向けに一般提供を開始する。サードパーティのファイルやカレンダー、Salesforceの記録、過去のSlack会話などにアクセスして情報を統合し、Canvas形式の共有ドキュメントを生成したり、関係者の予定を確認してレビュー会議の準備を支援したりする機能を備える。

Salesforce共同創業者でSlackのCTOパーカー・ハリスは、新旧の違いを「三輪車とポルシェ」に例え、基盤を大規模言語モデル(LLM)と高度な検索エンジンに置き換えたと説明した。新Slackbotは当初AnthropicのLLM「Claude」を用いて動作する。連邦政府向け提供のためのFedRAMP Moderate準拠などコンプライアンス要件が選定理由の一つであり、ハリスは当初はAnthropicのみが適合する提供者だったと述べた。ただし今年中にGoogleのGeminiなど追加のモデル提供者もサポートする計画で、OpenAIも選択肢になり得るとした。またSalesforceは顧客データを用いてモデルを訓練しないと明確に述べている。

社内では80,000人の従業員に向けて数か月にわたり試験導入を行い、採用率は過去最速の伸びを示したという。社内データでは従業員の約3分の2が試用し、そのうち約80%が継続利用している。満足度は96%に達し、利用者は週あたり2〜20時間の業務時間削減を報告している。導入は主に社員間の共有で自然発生的に広がり、社内で「最も盗用されやすいSlackbotプロンプト」をまとめたCanvasが短期間で多数作られた。

パフォーマンス面では、Slackbotが複数ソースの定性・定量データを突合してエグゼクティブ向けのインサイトを生成し、それをCanvasにまとめて共有・反復できることが示された。現在は画像読み取りやカレンダーの可用性確認などの機能が搭載されており、会議の実際の予約機能は数週間内に対応予定。画像生成は現時点で未対応だが将来的に検討しているという。

パイロット導入企業にはBeast Industries(YouTuber「MrBeast」の関連企業)やSlalom、reMarkable、Xero、Mercari、Engineなどが含まれ、現場からは「1日あたり最低90分の時間節約」などの声が聞かれた。Slackbot自体はBusiness+およびEnterprise+プランの追加費用なしで利用可能だが、Salesforce側のAPIやデータアクセスに対する課金方針の変更がサードパーティアプリや企業のコストに影響を及ぼす可能性が指摘されている。

今回の発表はMicrosoftのCopilotやGoogleのGemini統合と直接競合するもので、Salesforceは「Slack内という文脈的近接性と利便性」が差別化要因だと主張する。また同社はSlackbotを将来的に組織内の他エージェントと連携する「スーパ―エージェント」と位置づけ、MCP(Model Context Protocol)のクライアントとして外部ツールやエージェントを取り込む構想を示した。ただし大量のエージェントによる高度な協調は現段階ではやや先の話で、より実用的な展開はFY26頃から徐々に進むと説明している。

新Slackbotは発表日から順次展開を始め、対象顧客には2月末までに行き渡る見込み。モバイル対応は3月3日までに完了する予定だ。Salesforceは、会話型インターフェースを軸に従業員が自然言語でAIとやり取りする未来の働き方を見越しており、Slackで日々やり取りされる情報こそが同社にとっての強みであると位置づけている。
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